読書メモ

1月から読んだ本たち。
ネタバレ考慮なし。


つかみどころがなくて読みづらかった。芯がなくて、ふらふらしてて、すぐに忘れてしまう。たぶん私のコンディション悪かった。調子のいいときに読み返してもいいかもしれない。


全体的にはほのぼのとした話。でもなんか寂しくなるような話。読んでるうちに、終わりが近づいてるのがわかる。
夕子さんの話が印象的だった。誰かの死期が近づくと涙が止まらない。死んだらピタッと泣き止む。この涙が死の予感だと感じながら生きるのはしんどかったろうと思う。ギフと結婚して変化したのかな。
岩井さんは本当に器の大きな人だと思う。テツコのことならどんなことでも受け入れてくれそうな雰囲気の人。どうしてもパンケーキが食べたかったのが可愛い。私はこんな人にはなれないなあ、なんて思ったり。結婚詐欺の話題はちゃんと鎮まったのかな。
岩井さんはテツコとギフの生活にどんな感じで入っていくんだろう。もう入ってたけど、ずっとこのままではいられないんだろうなあ、なんて。終わらせていくこと、ちゃんと受け止めること、が丁寧に描かれていた気がする。
叶うなら、テツコと一樹の話をもっと読みたかった。どんな夫婦だったんだろう。寂しいよね。受け止めるけど、寂しいのは仕方ないよね。
いい本読んだ。


長い雨宿りが怖くて面白かった。
どこか三津田さんを彷彿とさせるような迫る恐怖。


伊坂さんの本なんだから読みやすいのは当然だ。でもなんでこんなに理不尽なんだろう。よくもまあ、こんな理不尽な出来事を思い付けるものだ。
ワタボコリの家に顔を出したのはフーガで、その後ファミレスのトイレへ行ってユーガと入れ替わったわけか。ということは、ほんの2時間程度の出来事。謎解きが難しい。
でもみんな幸せになれなくても、小玉とフーガが幸せそうでよかった。小玉が強いなって思った。やっぱ双子はひとりじゃなかったっていうのもあるけど、小玉はひとりだったから。もうひとりじゃないけど。
ユーガもきっと、復讐というか、人生の精算や挽回ができてよかったんだと思う。あまりにも悲しいけど。
しかしあの父親は本当に許せない。小玉の叔父も許せない。もっとハッピーな話が読みたくなったよ。
ところで、伊藤さんが言ってた案山子の名前は優午だな。オーデュボンの祈り。デビュー作を出してくるなんて。あの子供たちと伊藤の関係は?
面白かったけど、切なかった。ワタボコリも幸せになれよ。


むかしむかし、映画をみたことがある。映画自体はそんなに面白かった印象はない。というより内容もほとんど覚えていない。
この本を読み進めるうちに合致する記憶と違和感。そうだよ、映画では最初から最後まで怜子さんは副担任だった。死んでる人が生にすがり付く描写が滑稽だ。まるで生きてるみたい。だって彼女は生きてると思ってるんだから。ここで潔く「私を殺していいよ」なんてならないあたり、現実味がある。みんな忘れちゃうなんて悲しいじゃない。もう一人がちゃんといたってことを、誰かに覚えててほしい。
でも三年三組の呪いはこれで終わる訳じゃない。鳴が毎年「死の色」を見つけて殺していくわけにもいかないだろうし。
怜子さん家族がただただ悲しかった。


「寂しくて人を呼んでるなんて言われたら、こころがちぎれるような思いがするだろう」
また大切な本が増えてしまった。ホラーの短編集。
幽霊なんていないんだよ。だっていたら寂しいじゃない。っていうのが私の持論だけど、まったくその通りの短編が収録されていた。大事な人なら幽霊でも会いたいものなんだね。寂しいね。
ところで、ナマハゲが怖すぎる。読み終わったときより、次の日の方が怖かった。思い出して怖いのは久しぶり。これは本当に怖いやつだ…!終わり方が怖すぎる。全部忘れたらもう1回読もう。


いろんな縁があって読んだホワイトラビット。
久しぶりに黒澤さんと再開したなあって感じ。こんな人だったなあ、と。
「絶対に、と言う言葉を、絶対に言うな」と他人に言っておきながら、その数行後に「絶対に」と言う黒澤さんが好きだ。
この本はいろんな視点で描かれててなかなか面白かった。やっぱり伊坂さん上手だなー、見事に騙されて右往左往しちゃった。けども好きか嫌いかと考えたら完全に普通だ。すらすらは読めなかったし、誰にも感情移入できなかった。第三者目線だったからかな。
ところで、夏之目さんと娘さんの関係がとてもよかった。星の話をできる関係なんて素敵じゃない。それをちゃんと覚えていてくれるのも素敵じゃない。その点で言えば稲葉や兎田も当てはまるけど。
個人的には兎田と綿子ちゃんのハッピーライフを覗いてみたかったかな。


悪かった。悪すぎた。気分いいときにこの本読み始めたらものすごく気分が下がる。でも読むのを止められない。
帯通り、ほぼワルとクズしか出てこない。佳澄さん親子は哀れでしかない。関わる人によって人間って簡単に壊れるものなんだよね。そんで壊れるのは一瞬なんだよね。回復には時間がかかるのに。
最後のほうはコメディかな?って思うくらいハチャメチャだった。スローモーションで映像が流れてくるような。あれ、こんな映画どこかで見たよな?みたいな。
ところで社会福祉事務所のことは全くわからないけれど、これを読む限り本当に大変な仕事だと思う。


「流れ星の作り方」が、悲しい。


仕事を辞めたあとの参考にしようと買ってみた。私もできる限りバケーションしたい。でも全然参考にならなかった。
内容は伊坂作品だなーって感じ。実は彼はずっとバケーションしてたのかもしれないし、彼はこれからずっとバケーションなのかもしれない。
脅して言うことを聞かすより、親切にして協力してもらうってほうがお互い気持ちがいい。
ていうか、岡田と溝口の20年前の関係がわからなかった。溝口は岡田に助けてもらったことがあるから、彼のために何かしたくなったんだろうな。岡田のことを調べてる間に気づいたんだろうか。例の同級生?って思ったけど、さすがにお互い気づくだろうし溝口の家族が一致しない。
人のためだと思ってないけど人のために行動してる岡田はすごい。
ていうか最初の家族はどうなったんだろう。
彼らこそが残り全部バケーションだったりしないか。


女の日常や感情を書かせたら、この人の右に出るものはいないんじゃないか。輪郭のくっきりした小説を書かれる。
選ばなかった道を歩いてるもうひとりの自分がどこかにいるんだろうか。

読書メモ

8.9.10月に読んだ本。たくさんは読んでない。
ネタバレ考慮なしです。

完全に騙された!清々しいくらいに騙された!途中から疑問に思い出して混乱した。ネタ明かしされた今も混乱している。うまく整理できない。タイトルのABCが重要だったんだ。解説も小説の一部なんだ。内容は殺人の真相を探るものでありきたりなんだけど、なんだこれ面白い。作品として面白い。
この本を読んでて思ったのは、紙媒体の本にも検索機能があればいいのに、ということ。誰だっけ?ってなったときに名前を検索できたら登場シーンにすぐにたどり着けるのに。デジタルの本だとあるのかな?


本当か嘘かわからないホラー。ものすごい怖いわけではないけど、本当にそこら辺でありそうな怖さがある。すっと背筋が冷たくなるような。種明かしというか、著者の解説っぽいのが書かれてるのがいい。理不尽な終わり方ばかりだけれど。
カバー裏にも掌編が書かれてて得した気分。


怖かった。ぞわぞわってした。繰り返される同じシーンでも怖い。
シリーズ化されるのかなあ。


「話を聞くだけなら、壁でもできる」
面白かった。とんとん読めた。なんとなく流れは想像できるものの、なるほどこうやって繋がるんだーって。ふたりの登場人物が双方から追っている謎が重なる部分。お互いの登場人物同士は情報を共有してないからわからないけど、読んでいるこっちは両方の事情をしってるから少しもどかしい。
2004年頃の小説だけどシリーズではないのかな?だとしたらもったいない。


小説じゃなくてエッセイみたいな。加門さんて幽霊と共存してるんだ。幽霊と住んでるんだ。幽霊を受け入れてる人がこんなにたくさんいるもんなんだ。私はホラー好きだけど霊的なものに対してはわりと懐疑的だから、この本の内容も少し疑わざるを得ない。ただ、やっぱり読んでるとゾワってなる。私の代わり映えのないつまらない毎日にも幽霊が登場してくれたら刺激的なのに、なんて思ったり。
たたらばのひとつ目はきっとサイクロプス。こんなところで山白さん著のサイクロプスと繋がりがあるとは思わなかった。サイクロプスは信じたい。私はこのひとつ目がとても好きだ。目の前に現れられたら怖いだろうけれど。


すこしゾッとするような短編集。想像していた結末と違っていたり、とても面白く読むことができた。
個人的には「鳥の巣」がいちばん。


ミステリのようなホラーのような短編集。これは面白い。実は、辻村さんは初めて読んだ小説「スワロウハイツの神様」が合わなさすぎてずっと敬遠していた。人気作家とは知っていたけれど。もったいないことをしていたのかもしれない。
「踊り場の花子」
気違いじみてる。けど清々しい。私もこんな風に復讐を果たすお化けになりたい。
「ブランコをこぐ足」
「おとうさん、したいがあるよ」
「ふちなしのかがみ」
登場人物がふわっと入れ替わってしまったような違和感。ホラーだから謎は謎のままだけれど、理屈とか結局何がどうだったの?って考え出したらとまらない。眠る前に、あのしたいって結局全部ネズミだったの?ネズミが化けたの?私が認知症?とか。カナちゃんの年齢再確認したり。なるほど、言及はしてないのか…?とか。
「八月の天変地異」
泣いた。八月の奇跡。これが最後に読めてよかった。こんな話を書く人なら、もっとたくさん読んでみたい。


フレッド・ヴァルガスの新作が発売されていたなんて全く知らなかった!私はこの人の作品がとても好きだ。けれどずっと新作が出てなかったから、きっともう日本で翻訳本は売ってくれないんだろう…と諦めていた。前作を読んだのは2013年だった。
いうまでもなく今作もとても面白い。アダムスベルグ警視と9年ぶりに再開したわけだ。私の知っているアダムスベルグだった。ミステリーとしても面白いけれど、やっぱりユーモアや言い回しが日本のミステリ小説とは違って軽快で楽しい。重い事件を追っているのに、雰囲気が軽い。とにかく会話が逸れる。仕事中も酒を飲む。情と義が厚い。こんなにも無条件で上司を信頼できる部下たちがいるんだから、アダムスベルグはとても恵まれている。とくにダングラール。なんの見返りもなく理由も聞かずにただ助けてくれる。酒依存なのに!子どもが5人もいるのに!札束をポケットに突っ込んでくれる!登場人物で1番好きだ。そしてヒキガエルのプカプカバーン。1度だけ夢に見た。
それからルタンクール。仲間を助けるためにここまでできる存在感のある仲間。頼もしすぎる。信じ抜くこと、というよりは疑わないことを貫いた感じだ。アダムスベルグ本人よりも。
あとは可哀想な花牌。
夢の中でトリダンを振り回した。
また忘れた頃に次回作に出会えますように。

読書メモ

最近は読書が楽しい。
コメダで本を読んでいる時間が一番充実している。
以下個人的な感想。ネタバレ考慮ないです。


なんだかやりきれないような話ばかりだった。人間らしさってこういうのだよなあ。


ヌメリヒトモドキの妻がかわいそうだった。ハムスターが懐いてくれない妻がかわいそうで切なかった。
なるほどなあ、という結末。
心理とか脳とか意識とかのレベルの話。その人らしさを構築するものに記憶っていうのは大部分を占めている。だから記憶喪失なんてなると人格が変わるというかその人らしさがなくなるのだ。いろんなことを考えられて面白い。


映画をみてから読んだ。けれど映画とはだいぶ内容が違ったような印象。
葛藤して裏切られることばかりの中に、光が射す瞬間がある。その瞬間のために、しんどいことも葛藤も全部乗り越えられる。圧倒的に苦しいことが多い中でも、スッと荷が下りる瞬間があるんだろう。きっと報われる。それはだいぶ先になるかもしれないけれど。
しかし、あの現場雑感は忘れられない。涙が出そうだ。
もう一回映画を見るぞ。


「そういえば、さみしいというのは、どうしていいかわからないことであった」
少しずつリンクしている短編集。誰かが誰かのキーパーソンになっているような、実は何も関係してないような、どことなく不思議な世界観。物語の中の物語が多くて、どこの誰の物語だったかなって迷子になる。深くもなく、浅くもなく、さっくり読める。後味スッキリのコーヒーのよう。お菓子片手に。


久しぶりに読書が楽しかった。続きが気になってスラスラ読めた。でもサイコ的な部分、わかりやすい展開だけれどページをめくるのが躊躇われた。この予想が外れてくれと思いながらページをめくったけれど、予想通りの展開に途方に暮れる。救われなかった。小説のずるいところは登場人物の今後が知れないところ。想像にお任せ。もちろん私は想像する。誰も救われない未来を。ただ貴治がかわいそうで仕方がない。
作品としては伏線の回収がうまかった。だからこんな態度だったのね。最後まで読んでみると、ちゃんと辻褄が合っているのか気になるところ。しかし当分読み返す気にはならないだろう。残虐な話だったけど、主要な登場人物がみんな憎めない。香奈子は全部を理解したとき、どんな気持ちになるんだろう。たぶん最後の一行に尽きるんだろうけど。心が壊れたりしないのかな。根本の「こんな現実に晒されて発狂したいのになんで発狂しないんだ」という気持ちもよくわかる。いっそ壊れてしまった方が楽だ。でもたぶん、彼も少し壊れかけてるんだろう。みんなどこかおかしかった。2回目読んでも楽しそうな本。やっぱり作り込まれた長編はいいな!と再確認。この人の作品をもっと読んでみたい。


期待していたけど怖さはイマイチ。不思議感も微妙だったかな。湖の上澄みだけを読んでいるみたいな浅い内容。設定も無理矢理感があるというか。もっと深いところまで掘り下げたら面白そうなのにもったいない。怖さの正体が怖くなくて、綺麗な終わり方ばかりだったのもホラーぽくなくて残念。誰目線だよって感想でごめん。
ライトノベルなのかな?だとしたらありなのか。内容的には抵抗もなくサクッと読める。


文庫化を待ちわびた本。期待を裏切らない面白さ。途中から伏線の回収が始まるけど、最後までドキドキしながら読める。登場人物の誰にもあまり共感できなかったけど、それ以上にストーリーがとてもよかった。登場人物の最初は普通なのに徐々におかしくなっていく過程が秀逸。人間の恐怖心、不安といった感情にうまくつけ込んでいる。ひとりおかしな人がいたら伝染するもんなんだなあ、なんて思ってみたり。みんな狂っていくけれど、どこか憎めなさがあって。特に聡は本当に男前だ。誰がなんと言おうと、優しさのかたまりだ。だから本当に悲しい。みんなが幸せになる結末ではないと思ってはいたけれど、それにしても悲しい。誰も幸せにならなかった。

読書メモ

1-2月に読んだ本。2月は読書スランプ。
ネタバレ考慮してないです。

死者のための音楽 (角川文庫)

死者のための音楽 (角川文庫)

「バイオリンのように運命的で、オルガンのように厳粛だった」
今年の初泣きはこの本でした。どうしようもない家族の話。後ろからの3編がとてもよかった。泣き虫だけど、大事なもののためなら誰よりも強くなれる。綺麗な遺書を読み終わった気がした。
ただ、やっぱり所々で容赦ない。さすが乙一さん。


私はネコが嫌いだ。

私はネコが嫌いだ。

仲の悪かった犬が死んだときを思い出した。仲が悪くてもちゃんと家族だったよな。


ホテルメドゥーサ (角川文庫)

ホテルメドゥーサ (角川文庫)

「たしかにこの世界は、やり直しがきかないからいいのか」
誰しも、ここではない何処かへ行きたいと思うことはあるのではないか(解説より)。
でも、ここではない何処かってどこ?死ぬってこと?私のことを知ってる人が誰もいないとこ?
この本の中には“どこか”がある。行くか行かないかは自分次第。それぞれの迷いや“どこか”への憧れが綴られている。誰の気持ちもわかるような、そんな気がする。例えば今、痛くも苦しくもなく楽に死ねるとしたら?私がよく考えていることだけれど。大いに迷って、結局生きることを選ぶんだと思う。まだ道があるんじゃないかと思っているから。じゃあ死なずに別世界へ行けるとしたら?おもしろいテーマだったと思う。
最後のミンナの台詞を聞いて。海に漂ってるだけでいいなら魅力的だ。ありかもしれない。


ついてくるもの (講談社文庫)

ついてくるもの (講談社文庫)

一部読んだことがあるものも収録されていた。2回目でも安定の怖さ。三津田さんの小説は擬音が効果的に使われている。擬音が怖い。正体のわからない怖さ。でも、怖くても続きが気になる面白さがある。


魔邸 (角川ホラー文庫)

魔邸 (角川ホラー文庫)

個人的には、ミステリーにホラーを混ぜたら純粋なミステリーは存在しないと思う。ズルいというか、超常的なこじつけもできるな、って。しかしうまく成り立たせてしまうのが三津田さん。
死んじゃった人がみんな生きてる人を怨んでる訳じゃないんだ。助けてくれてありがとう。でも本当は助けたんじゃなくて、間接的に復讐を果たしたのかもしれない。悲しいな。あんな死に方をしたのに、明るく話していることが。うらめしやじゃないんだよ。怖かったんだよ。
とりあえず最後の一文には驚かされた。


ツバキ文具店 (幻冬舎文庫)

ツバキ文具店 (幻冬舎文庫)

  • 作者:小川 糸
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: ペーパーバック
「油が飛んだ跡なども、そのまま流星のように残されている」
「死ぬということは、永遠にいきるということでもあるのかもしれない」
ネットだけのメル友(古い?)に勧められて読んだ本。
素敵な本を読んでしまった。鎌倉という街が好きになった。なんなら住みたい。
文具店と代書屋を営むポッポちゃんと彼女を取り巻く鎌倉の人たちのお話。手紙が所々で登場するのがこの本の温かみを増している。
この本の中では穏やかな時間が流れていた。悪意が一片もまじってない。穏やかな登場人物たちに季節の流れ。ポッポちゃんの感性。誰にも知られたくない黒歴史があるところには共感できた。もう二度と先代に会えない悲しさもしっかり滲んでた。ホッポちゃんはずいぶんと丁寧な暮らしをしている。憧れだ。バーバラ婦人はチャーミングで本当に素敵。私も友達になりたい。あんな隣人さんが居てくれたらなあ。なんとなく、荻上直子さんに映像化してもらいたいと思ったけれど、もう既にドラマ化されているみたい。キャストがイメージと違ったから見ないけれど。
心に残しておきたい言葉がたくさん登場した。肌の柔らかさも骨の硬さも知らない、なんて切ないんだろう。
おすすめされなければこの本を手に取ることはなかったんだろうな、と思うと感慨深い。なんとなく、鰻が食べたくなった。


キラキラ共和国 (幻冬舎文庫)

キラキラ共和国 (幻冬舎文庫)

  • 作者:小川 糸
  • 発売日: 2019/08/06
  • メディア: ペーパーバック
ツバキ文具店の続編。ううん、私的には前作の方が好きだ。家族の話はむず痒いというか、こんな風に感情を綺麗に整理できるものか、とか穿った見方をしちゃう。
とても素敵な家族の話だけれど。いつも重くて辛い話ばかり読んでるから、こんか綺麗な物語が嘘臭く感じるんだろうか。男爵のとこもそうだけど、家族にはいろんな形がある。幸せ家族なんて未知なんだけど?読みながら、やっぱり私には家族なんて無理だと実感した。というよりは、思い知らされた感じだ。
ムカデが大量発生する鎌倉にはやっぱり住めない。でも旅行で絶対に行こうと思った。
ご飯シーンは相変わらず美味しそう。アジフライカレーを是非とも食したい!魚のフライが食べたくなってきた。

読書メモ

11-12月に読んだ本。
自宅待機してたわりに読めてない。ネタバレ配慮ないです。

ノースライト

ノースライト

「父親自信が抱える苦しみのほうが、自分への愛情よりも重かった。永久に傾いたままのその天秤を、ことあるごとに見つめることになる。」
なんという本を読んでしまったのだ。
ようやっと横山さんのノースライトを読了した。ハードカバーしかなくて文庫化を待ちながら読むのを躊躇っていた。けれど文庫化を待てずに手を出した。よかった。本当に、この人の小説はハズレがない。いつもは警察側とか犯罪者側とかからの話が多いから、建築系も読めるのかと心配だった。杞憂だったけれど。横山さんは知識のない人にもわかるように充分に補足しながら文章を書いてくれている。それだけに内容が深い。上面だけではなく、深く掘り下げられた話を読んでいるのがわかる。
あと、なんといっても横山さんの小説の魅力は人間味だ。登場するどの人もしっかり確立されている。そこに立っている人物像。人間模様。主人公の感情だけじゃなくて、周りの人たちの機微も丁寧に描いている。だから横山さんの小説は好きなのだ。ちゃんと世界がある。ミステリの内容も秀逸だけれど、複雑な人間関係、それぞれの感情がより魅力的にさせてるんだと思う。だから読み終わったあとはしばらく立ち直れない。登場人物たちに、これから素晴らしい日常が訪れることを祈る。
内容についての感想は。なんて誠実な人たちばかりか。岡嶋所長の一創君への思いが痛いくらい伝わった。青瀬さんはなんて男気のある人なんだ。吉野さんは自分のことを不誠実だと語ったけれど、こんなにも誠実な人もいないのではないか。父親の思いを汲むために、こんな行動を起こせる息子なんて。
家族の話だったな。家族の愛情の話だった。読みながら親しくなっていった人たちが悲しむ姿や、ましてや亡くなるなんて。家族や周りの人たちの悲しみが伝わる。感動した。分厚いし、馴染みのない話だしで取っ付きにくいけれど、読めてよかった。
ついこの間NHKが映像化していた。私は好きな作品の映像化は極力見ないけれど。
新作待ってます。

溺レる (文春文庫)

溺レる (文春文庫)

「生まれてから今までどれくらいのことを後悔しましたか」
ふわふわしてて、あんまり内容覚えてない。

ゴースト (朝日文庫)

ゴースト (朝日文庫)

「辛いことばかり思い出されるのではない、ときどき鮮やかによみがえるのは、誰かに親切にされた思い出なのだか、それがまた思い出になると辛かったことよりさらに深く傷を抉る」
「それはわたしが泣いたのではなくて、なにかがわたしの中にそっと入り込んできて涙を流させたかのようだった」
ゴーストに関する短編集。怖さはない。いつの間にかそこにあったくらいの気軽いゴースト。
幽霊とも普通に会話ができたらいいのにね。

眠れない夜は体を脱いで (中公文庫)

眠れない夜は体を脱いで (中公文庫)

平坦で起伏のない短編集だったけれど、すらすら読めたし、久しぶりにこういう青春っぽい話を読んだ気がする。内容は日常系だし、いわゆる直球な青春ではなくて、この本を色で表したら明るい青色だなって思った。
とても描写がうまい。そんなさ、「ただ楽しかった一日の余韻が、骨を暖める」なんて表現できる?素晴らしすぎる。
ただただいい人しか出てこなかった。個人的には「鮮やかな熱病」の中でカエルの帽子を創ってる妻がなんてチャーミングで可愛らしい人なんだろうと思った。あんまり登場してないけど。読み心地爽やか。

熱帯魚 (文春文庫)

熱帯魚 (文春文庫)

節々でなるほどなあ、と思いながら読んだけど、読み終わっても何も残らなかった。登場人物がほどよくイカれてた。けれど人間なんてこんなものか、なんて思ったり。

魔性の子 十二国記 0 (新潮文庫)

魔性の子 十二国記 0 (新潮文庫)

十二国記シリーズらしいけれど、単品でも読めるということで読んでみた。ファンタジーがあまり好きじゃないから十二国記は読んでない。でもこれもファンタジーだったかな。ホラーと思って読んでたけれど。怖い怖いとあちこちのレビューで書かれてたから期待していた。けれど同著者のゴーストハントの方が断然怖い。ホラー要素はあまりなかったんじゃないかな。不気味というか世にも奇妙な要素はあったけれど。最初から最後まで心霊的なものは感じなかった。でもそこは小野不由美。文章がスラスラ読める。情景が頭に浮かぶ。感情が伝わる。私はずっと後藤先生目線だった。帰る場所はないし特別な人間なんていない。広瀬は最後に自分のエゴに目を向けて独白したから、そこは読んでて気持ちがよかった。自分好きの綺麗事ばかりだなって思ってたから。やっとか、こいつって。人間はそれだけで汚い生き物なんだよ。
でも容赦なかったなあ。築城とか、悪い奴じゃないと思ってたけど。まさか後藤先生もなのか。
まったく普通の何が悪いんだ。