1-2月に読んだ本。2月は読書スランプ。
ネタバレ考慮してないです。
今年の初泣きはこの本でした。どうしようもない家族の話。後ろからの3編がとてもよかった。泣き虫だけど、大事なもののためなら誰よりも強くなれる。綺麗な遺書を読み終わった気がした。
ただ、やっぱり所々で容赦ない。さすが乙一さん。
仲の悪かった犬が死んだときを思い出した。仲が悪くてもちゃんと家族だったよな。
- 作者:尾崎 英子
- 発売日: 2020/12/24
- メディア: 文庫
誰しも、ここではない何処かへ行きたいと思うことはあるのではないか(解説より)。
でも、ここではない何処かってどこ?死ぬってこと?私のことを知ってる人が誰もいないとこ?
この本の中には“どこか”がある。行くか行かないかは自分次第。それぞれの迷いや“どこか”への憧れが綴られている。誰の気持ちもわかるような、そんな気がする。例えば今、痛くも苦しくもなく楽に死ねるとしたら?私がよく考えていることだけれど。大いに迷って、結局生きることを選ぶんだと思う。まだ道があるんじゃないかと思っているから。じゃあ死なずに別世界へ行けるとしたら?おもしろいテーマだったと思う。
最後のミンナの台詞を聞いて。海に漂ってるだけでいいなら魅力的だ。ありかもしれない。
一部読んだことがあるものも収録されていた。2回目でも安定の怖さ。三津田さんの小説は擬音が効果的に使われている。擬音が怖い。正体のわからない怖さ。でも、怖くても続きが気になる面白さがある。
- 作者:三津田 信三
- 発売日: 2020/11/21
- メディア: 文庫
死んじゃった人がみんな生きてる人を怨んでる訳じゃないんだ。助けてくれてありがとう。でも本当は助けたんじゃなくて、間接的に復讐を果たしたのかもしれない。悲しいな。あんな死に方をしたのに、明るく話していることが。うらめしやじゃないんだよ。怖かったんだよ。
とりあえず最後の一文には驚かされた。
- 作者:小川 糸
- 発売日: 2018/08/03
- メディア: ペーパーバック
「死ぬということは、永遠にいきるということでもあるのかもしれない」
ネットだけのメル友(古い?)に勧められて読んだ本。
素敵な本を読んでしまった。鎌倉という街が好きになった。なんなら住みたい。
文具店と代書屋を営むポッポちゃんと彼女を取り巻く鎌倉の人たちのお話。手紙が所々で登場するのがこの本の温かみを増している。
この本の中では穏やかな時間が流れていた。悪意が一片もまじってない。穏やかな登場人物たちに季節の流れ。ポッポちゃんの感性。誰にも知られたくない黒歴史があるところには共感できた。もう二度と先代に会えない悲しさもしっかり滲んでた。ホッポちゃんはずいぶんと丁寧な暮らしをしている。憧れだ。バーバラ婦人はチャーミングで本当に素敵。私も友達になりたい。あんな隣人さんが居てくれたらなあ。なんとなく、荻上直子さんに映像化してもらいたいと思ったけれど、もう既にドラマ化されているみたい。キャストがイメージと違ったから見ないけれど。
心に残しておきたい言葉がたくさん登場した。肌の柔らかさも骨の硬さも知らない、なんて切ないんだろう。
おすすめされなければこの本を手に取ることはなかったんだろうな、と思うと感慨深い。なんとなく、鰻が食べたくなった。
- 作者:小川 糸
- 発売日: 2019/08/06
- メディア: ペーパーバック
とても素敵な家族の話だけれど。いつも重くて辛い話ばかり読んでるから、こんか綺麗な物語が嘘臭く感じるんだろうか。男爵のとこもそうだけど、家族にはいろんな形がある。幸せ家族なんて未知なんだけど?読みながら、やっぱり私には家族なんて無理だと実感した。というよりは、思い知らされた感じだ。
ムカデが大量発生する鎌倉にはやっぱり住めない。でも旅行で絶対に行こうと思った。
ご飯シーンは相変わらず美味しそう。アジフライカレーを是非とも食したい!魚のフライが食べたくなってきた。