9-10月の読書メモ

ずいぶんと読むペースが落ちている。
自己解釈やネタバレあります。


家シリーズの3作目を本屋で発見したために急いでこの2作目を読んだ。怖さはいまひとつではあるものの、やっぱり描写力はすごい。さっ、と小説の中に入り込める。そこに何かがいるような気がする、という気持ちが伝わる。とはいえ小説から離れると余韻も怖さも何も残らない。前に読んだ割れ女は私の睡眠をおびやかしたけれど。今回は得体が知れない話だったからかもしれない。サトオが何を伝えたかったのか、どんな気持ちだったのかを知りたかった。3作目も楽しみだ。


家が呼ぶ --物件ホラー傑作選 (ちくま文庫)

家が呼ぶ --物件ホラー傑作選 (ちくま文庫)

  • 発売日: 2020/06/11
  • メディア: 文庫
家系ホラーのアンソロジー
三津田信三はさすがだ、やっぱり断トツで怖かった。短編でこの怖さを出せるなんて。欄間ね、欄間って怖いよね。なにが見えたのか、なにがいたのか。想像が膨らむ。こわいこわい。
小松左京平山夢明は前にも読んだことがあった。気持ち悪い感じ。
皆川博子は雰囲気小説。
小池真理子幻想小説。悲しくなるくらいの瑞々しさ。
京極夏彦はやっぱり京極さんだった。理屈っぽいって言ったら駄目だけれど。あれ、京極堂もこんなこと話してなかったっけ?シュレディンガーの猫じゃあないけれど。このあられは蓋を閉めたら骨になってるかもしれないよ?的な。会話中心の小説はなかなか苦手だ。そして相変わらずの京極さんワールド。昔は京極シリーズも好きだったけれど。


サブマリン (講談社文庫)

サブマリン (講談社文庫)

「時間が和らげない悲しみなどない。が、悲しみはゼロにはならない」
大学生だった陣内さんがいつの間にか40代になっててびびってる。私も年を取るはずだ。そしてやっぱり陣内さんが好きだ。陣内さんに関わる人も好きだ。いろいろな出来事が絡んでて、みんなが少しずつ関係しているっていうのが本当に面白い。伊坂さんはこういうの得意だよなーって。こういう本を読めて嬉しい。
加害者と被害者と、それらの人たちのその後って、本当はもっと複雑だとは思う。でもみんな抱えて生きていかなきゃいけない。やっぱり味方は必要だ。自分のために必死になってくれた人がいるっていう記憶があると強いと思う。そう思ってもらいたくて、誰かのために必死になって何かできたらいいなって思えた。
まあ陣内さんはそういうタイプではないけれど。自分のための行動が結果として人のためになってるから、すごいなと思う。陣内さんと知り合いたいな。陣内さん、独身でしょ?どうか幸せになって。伊坂さん幸せにしてあげて。
永瀬さんと優子さんはやっぱり結婚してたね。この本ではないけれど、陣内さんがレンタルショップの人に告白して玉砕した話はとても好き。


そこに無い家に呼ばれる

そこに無い家に呼ばれる

思ってたよりなにも怖くなかった。期待しすぎたかな。結局怖いのは人間の形をした何かだから、それの存在があまり感じられなかったとは思う。なんなら幕間のエレベーターの怪がいちばん怖かった。


静かな爆弾 (中公文庫)

静かな爆弾 (中公文庫)

「誰かの幸せのために、誰かが犠牲になるべきではない」
静かな爆弾。タイトル通りだった。静寂と喧騒。
難しいなあ、伝えるっていうのは。言葉は便利なツールだけれど。伝えたいことを伝える手段がない、知りたいことを聞くこともできない、っていうのはどんな世界なんだろう。響子が姿を消したのはあの置き手紙通りの気持ちだったからかな。なんで家が見つからなかったのかな。結論というか、答えまで全部書いてくれてたらよかったのに。結末は想像にお任せされました。
こういう話は久しぶりに読んだけど、大人な小説はけっこういいな。思い出した、私はこの人の小説も好きなんだった。

読書メモ

昨年の後半から最近にかけて読んだもの。自己解釈やネタバレがあるかもなので気をつけて。


ふーん。


赤いべべ着せよ… (中公文庫)

赤いべべ着せよ… (中公文庫)

  • 作者:今邑 彩
  • 発売日: 2012/07/21
  • メディア: 文庫
気分の悪くなるような話だった。母子は加賀史朗と生きるんだろう。


小説 シライサン (角川文庫)

小説 シライサン (角川文庫)

  • 作者:乙 一
  • 発売日: 2019/11/21
  • メディア: 文庫
乙一さんっぽい文章じゃなかった。純粋にホラー小説。こわいこわい。
結局真実はわからずじまい。読解力や理解力がないから。
石森ミブが格子の中の女だったなら、目の大きな女は何者?ってなる。なんで酒屋の男は子どもの頃、話を聞いたときに死ななかったんだろう?日記に残すくらい、その後感染者が続々出るくらいにシライサンの名前も話の内容も覚えていただろうに。溝呂木先生は死んじゃったのに?日記かいてすぐ忘れたのか。子どもだし?
怖かったけど、やっぱり謎だなあ。目が破裂して死んじゃった人たちは船で何をしてるの?仲間探し?
しかし、大事な人が死ぬっていうことはすごく辛いことなんだって、ニュースとかで見るより、小説とか映画の方がよっぽど実感してしまうのは何故なんだろう。ある意味で、擬似体験だからだろうか。
シライサン、映画も見ました。しかし映画はちょっと薄かったかな。小説と少し内容が違ったし。こわいのはこわいけれど。


君が降る日 (幻冬舎文庫)

君が降る日 (幻冬舎文庫)

生きるとは、うまくはいかないものだ。感情の波だったり、社交辞令だったり、コントロールしなければならないものは山ほどある。言葉にしなきゃ、伝わらない。でも言葉にするのは難しい。


ひなた (光文社文庫)

ひなた (光文社文庫)

それぞれの1年。1年でいろいろな出来事が起こるものだ。


異形のものたち (角川ホラー文庫)

異形のものたち (角川ホラー文庫)

日本のホラーだ。ホラーというか、幻想譚というか。こわくはないけど、ゾワッとしたり。


エムブリヲ奇譚 (角川文庫)

エムブリヲ奇譚 (角川文庫)

さすがとしかいいようがない。こんな話が読めることが嬉しい。しかし、「地獄」が地獄過ぎてつらい。容赦ない。
「さあ行こう」もそこそこ救いようがない、人間扱いされないことが辛すぎる。でも内容が秀逸すぎる。


私のサイクロプス (角川文庫)

私のサイクロプス (角川文庫)

こちらもあっという間に読了。「私のサイクロプス」がとても悲しい。大太郎の叫び声が聞こえてきそう。優しい子なのに。
全体的に残酷な話ばかりだった。報われない。


私の頭が正常であったなら (幽BOOKS)

私の頭が正常であったなら (幽BOOKS)

ぶきみでやさしくて繊細な描写
「世界で一番短い小説」
相棒に似たようなミステリがあったな。妻が冷静なのがよかった。何もしない幽霊は寂しいだけだなあ、なんて。
「首なし鶏」
風子の結末がかわいそうだった。いつも子供が犠牲になるんだ。
ところで、首なし鶏マイクは実在したのか。
「酩酊」
まあ、うん。くずだな。
「布団の中の宇宙」
これは不気味。その布団を使い続ける彼も不気味。いったいどういう由来の布団なのか気になる。彼もどこへ行ったのか。自ら望んでいっちゃったのか。病んでるな。
「子どもを沈める」
私なら無理だよ。一生かけて償っていくなんて。間違いなく気が狂う。彼女たちのように。でも今度は仲良しになれるといいね。夫が人格者。よく見捨てなかった。ありがとう。
「トランシーバー」
メアリースーを殺してで読んだ。前と感想は変わらない。私の立場は死んだ妻子だ。忘れてほしくない。ときどき思い出して。やっぱりときどきじゃいやだ。でもちゃんと生きて。幸せになって。でも忘れないで。難しい。
「私の頭が正常であったなら」
何がほんとで何が幻聴なのか。自分自身も信じられないなんて辛い。まわりにも信じてもらえないわけだし。精神疾患についてちょっと考えさせられた。最悪なトラウマだ。
「おやすみなさい子どもたち」
天使とか天界とかすごい想像力。おやすみなさい、天使たち。


ゴーストハント1 旧校舎怪談 (角川文庫)

ゴーストハント1 旧校舎怪談 (角川文庫)

ゴーストハント2 人形の檻 (角川文庫)

ゴーストハント2 人形の檻 (角川文庫)

本屋で見つけて買ってしまった。さすが安定の小野不由美ゴーストハントも読むの3,4回目くらいだけど、意外と忘れてるものだな。そりゃ前回読んだのは10年くらいは前だから。1巻は超常現象的なことがあんまりなかったから、勝手に科学で考えた。2巻はがっつり幽霊!私の大好きなホラー。おもしろかったな。舞台は世紀末らしいから、やっぱりところどころで時代は感じるけども。どんどんおもしろくなるよ!でもとても怖いよ!早く全部読みたいな。文庫本発売したら買うけど、それまでに本棚に眠ってるソフトカバーのを読み返しちゃおう。

読書めも。

お久しぶりに読書めも。ネタバレ考慮してないのでご注意を。

凶宅 (角川ホラー文庫)

凶宅 (角川ホラー文庫)

怖かった。おもしろかった。友情に泣きそうになった。幸平いい奴過ぎる。結構過激な終わり方。つらい。次は翔太の番なの。
あと、謎なのは百々山の神様と影の関係は?神様の呪いだったの?別物だったの?なんで福岡までついてきちゃったの?私には謎が解決できない。というか扇婆どうやって生きてるのよ。謎、謎、謎。
でもやっぱホラーは面白い。
桃子の家族はどうなったんだろう。幸平はどんな人生を送ってきたんだろう。その人たちの人生が気になる。なんだかやるせない。


怪談のテープ起こし (集英社文庫)

怪談のテープ起こし (集英社文庫)

「すれちがうもの」怖くて面白かった。水が絡んでるってのはこじつけな感じがしたけれど。


だから見るなといったのに: 九つの奇妙な物語 (新潮文庫nex)

だから見るなといったのに: 九つの奇妙な物語 (新潮文庫nex)

怖くはない。


乙一さんは安定のおもしろさ。
山羊座の友人」は結末が想像できていたけれど、違ってほしいと思いながら読んで、違わなかったから悲しくなった。「もう二度と帰ってこなかった」彼は眼鏡がなくても気づけたよ。心の支えだったのに。私も彼女が好きだった。
「トランシーバー」もすごく悲しくて。忘れないけれど、ずっと背負っていくものでもないんだなって。ずっと引きずっていてほしいし、背負っていってほしい、毎日思い出してほしい。私が第三者だから、こんな風に思ってしまうんだろう。例えば私が妻とか、息子とか、あるいは近親者、友人ならば前を向いて歩いていくことを素直に応援することができたんだろう。何も関係ない第三者の視点に立つと、悲しくて。妻や息子が。絶対に彼女らは夫の理解者であるはずだけれど、私は彼女らの存在がどんどん小さくなることがすごく悲しかった。
いなくても、ちゃんといるのに。
最後の「エヴァ・マリー・クロス」の文章に驚いた。翻訳文読んでるみたいだった。すごく好き。読ませてくれてありがとう。


犯罪小説集 (角川文庫)

犯罪小説集 (角川文庫)

期待しすぎた。謎が解けない。


掏摸(スリ) (河出文庫)

掏摸(スリ) (河出文庫)

面白かった。掏摸ってこんな風に盗るんだろうか、天才か、と思わせる描写が多かった。天才か。
ただ内容は淡々としてて、誰のことも深く知れなかった。


異世界屋敷の割れ女超怖い。表現の仕方が、怖い。ああでも残念、男の子死んじゃったんだ。ウソかホントかわからないけど。
結構無理矢理感あったけど面白く読めた。
ところどころにあった、作家の進捗状況とか他の作品のところを説明する場面を読むと結構だらけるというか、興味ないからかしんどかった。短いけれど。
幽霊物件も怖かった。この人の作品では読むやつ読むやつよく追いかけられる。追いかけられるのがこんなに怖いのはこの著者くらいだきっと。
しかし割れ女はほんとに怖い。


王国 (河出文庫 な)

王国 (河出文庫 な)

時間をかけて読んだせいか意味がよくわからなかった。ただ文章は読みやすい。誰かの日記を読んでるみたいなぶつ切りな文章。


とてもよかった。切ない。こんな風にすれ違っていくんだなあ、とか。こんな風に歩き出すんだなあ、とか。
「これからの新生活で、ずっと楽しいことが一つも起きないなんて、ありっこないのだ。」少しだけ元気をもらえた。ありがとう。


土の中の子供 (新潮文庫)

土の中の子供 (新潮文庫)

最初読んだ本がいいと、何冊も読みたくなってしまう。


男ともだち (文春文庫)

男ともだち (文春文庫)

あんまり共感できなかったのは私には夢もそんな友達もいないからかもしれない。自分が持ってるものに目を向けないと。持ってるものに気づけないと。


営繕かるかや怪異譚 その弐

営繕かるかや怪異譚 その弐

ああー、さすが小野さん。文庫化は待てなかった。
どれもこれもすごくよかった。ホラーもあるけど、人と人との繋がりも重視されてて。温かい気持ちになれる。
関守すごくよかった。実は守られてたんだって。実は守られてるんだろうなって。猿田彦さん、名前はよく聞くけど。なんか好きになったなあ。
水の声なんかは、やっぱり死んじゃったってひとりぼっちは悲しいよな、とか考えたり。リュウちゃんのお母さんはリュウちゃんのために悲しんで怒ってくれたけど、ササやんの家族はそうじゃなかったから、そんなの寂しいよな。
正邦さんが怖いけどいい人だったから、新しい家でも座敷童になってればいいなって思った。

読書メモ

今年は悲しいくらい全然本を読んでいない。ネットで公開されてる個人さんの小説ならちょこちょこ読ませてもらってるのだけど。それがなかなか秀逸で面白いのだけど。

本は6冊しか読めてないや。

出口のない海 (講談社文庫)

出口のない海 (講談社文庫)

やっと読んだ。戦争物は嫌いだから敬遠してたけど、やっぱりよかった。
横山さんの話は人間だから。
悲しかった。やっぱりどうしようもなく悲しかった。
戦争についての気持ちが少しだけ知れた。


「自分のことが正しいと思いだしたら、自分を心配しなさい」
「俺が関係あるかないかは、お前にはかんけいない」
相変わらず安定の伊坂幸太郎だった。
なんかみんな同じ内容だった、ような、気が。
しかし表紙がトモフスキーだったとは。いいね。


ハラサキ (角川ホラー文庫)

ハラサキ (角川ホラー文庫)

だいたいの展開は読める。
甘っちょろい考えの日向が好きになれない。


やっぱり短編だと染み入る怖さが足りない。
くちづけは短いながら幻想ホラーとしてとても良かった。


紫のアリス (文春文庫)

紫のアリス (文春文庫)

けっこう面白かった。読みやすくてさくさく読めた。
妄想が真実なのか。
やっぱり死んだ人を忘れないでいてくれる人は貴重なんだ。それだけで誰かの支えになってるんだ。
しかし寂しい終わり方。


ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)

ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)

恋愛短編小説だった。いや、知っていた。
ジョゼの映画がよかったから読んでみた。
どうしてこの話を映画にしようと思ったんだろう。
映画と内容が少し違ったけど、映画のほうがよかったかなあ。
話の内容は、あんまり心に残ってない。
でもなんかじんわりよかったような気がする。そんな気だけが残ってる。

読書メモ

8月後半からの読書メモ。
本を読む時間は本当にない!

パーク・ライフ (文春文庫)

パーク・ライフ (文春文庫)

パレード (幻冬舎文庫)

パレード (幻冬舎文庫)

ほろびぬ姫 (新潮文庫)

ほろびぬ姫 (新潮文庫)

怪談 (集英社文庫)

怪談 (集英社文庫)

それもまたちいさな光 (文春文庫)

それもまたちいさな光 (文春文庫)

傍聞き (双葉文庫)

傍聞き (双葉文庫)

臨場 (光文社文庫)

臨場 (光文社文庫)

初恋温泉 (集英社文庫)

初恋温泉 (集英社文庫)


感想ネタバレあり。

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