ずいぶんと読むペースが落ちている。
自己解釈やネタバレあります。
家シリーズの3作目を本屋で発見したために急いでこの2作目を読んだ。怖さはいまひとつではあるものの、やっぱり描写力はすごい。さっ、と小説の中に入り込める。そこに何かがいるような気がする、という気持ちが伝わる。とはいえ小説から離れると余韻も怖さも何も残らない。前に読んだ割れ女は私の睡眠をおびやかしたけれど。今回は得体が知れない話だったからかもしれない。サトオが何を伝えたかったのか、どんな気持ちだったのかを知りたかった。3作目も楽しみだ。
家系ホラーのアンソロジー。
三津田信三はさすがだ、やっぱり断トツで怖かった。短編でこの怖さを出せるなんて。欄間ね、欄間って怖いよね。なにが見えたのか、なにがいたのか。想像が膨らむ。こわいこわい。
小松左京と平山夢明は前にも読んだことがあった。気持ち悪い感じ。
皆川博子は雰囲気小説。
小池真理子は幻想小説。悲しくなるくらいの瑞々しさ。
京極夏彦はやっぱり京極さんだった。理屈っぽいって言ったら駄目だけれど。あれ、京極堂もこんなこと話してなかったっけ?シュレディンガーの猫じゃあないけれど。このあられは蓋を閉めたら骨になってるかもしれないよ?的な。会話中心の小説はなかなか苦手だ。そして相変わらずの京極さんワールド。昔は京極シリーズも好きだったけれど。
- 作者:伊坂 幸太郎
- 発売日: 2019/04/16
- メディア: 文庫
大学生だった陣内さんがいつの間にか40代になっててびびってる。私も年を取るはずだ。そしてやっぱり陣内さんが好きだ。陣内さんに関わる人も好きだ。いろいろな出来事が絡んでて、みんなが少しずつ関係しているっていうのが本当に面白い。伊坂さんはこういうの得意だよなーって。こういう本を読めて嬉しい。
加害者と被害者と、それらの人たちのその後って、本当はもっと複雑だとは思う。でもみんな抱えて生きていかなきゃいけない。やっぱり味方は必要だ。自分のために必死になってくれた人がいるっていう記憶があると強いと思う。そう思ってもらいたくて、誰かのために必死になって何かできたらいいなって思えた。
まあ陣内さんはそういうタイプではないけれど。自分のための行動が結果として人のためになってるから、すごいなと思う。陣内さんと知り合いたいな。陣内さん、独身でしょ?どうか幸せになって。伊坂さん幸せにしてあげて。
永瀬さんと優子さんはやっぱり結婚してたね。この本ではないけれど、陣内さんがレンタルショップの人に告白して玉砕した話はとても好き。
思ってたよりなにも怖くなかった。期待しすぎたかな。結局怖いのは人間の形をした何かだから、それの存在があまり感じられなかったとは思う。なんなら幕間のエレベーターの怪がいちばん怖かった。
- 作者:吉田 修一
- 発売日: 2011/03/23
- メディア: 文庫
静かな爆弾。タイトル通りだった。静寂と喧騒。
難しいなあ、伝えるっていうのは。言葉は便利なツールだけれど。伝えたいことを伝える手段がない、知りたいことを聞くこともできない、っていうのはどんな世界なんだろう。響子が姿を消したのはあの置き手紙通りの気持ちだったからかな。なんで家が見つからなかったのかな。結論というか、答えまで全部書いてくれてたらよかったのに。結末は想像にお任せされました。
こういう話は久しぶりに読んだけど、大人な小説はけっこういいな。思い出した、私はこの人の小説も好きなんだった。