歩けば進むのだ

「時間が和らげない悲しみなどない
だが、悲しみはゼロにはならない」

好きな小説の好きな台詞。
ただ好きだった台詞。
この言葉を、こんなにも実感させられるとは思いもしなかった。

私の全てを奪ったあの出来事。死ぬことを真剣に考えた。毎日泣いていたし、心の相談にも電話した。繋がらなかった。弁護士にも警察にも相談した。できることはないんだって。誰も力になってくれないじゃん。誰も助けてくれないじゃん。死んだ方がいいじゃん。楽になれるのなら今すぐにでも死にたい。
本気で死のうとしたときに、頭を過るのは両親のこと。きっととても悲しむ。だったら私が悲しみを我慢して生きている方がいいに決まっている。
幸い私には真剣に心配してくれる人もいるのだし。

あの一歩を踏み出さなくてよかったはずだ。


振り返ると心が千切れたみたいに痛いし、とても悲しい。
でも大丈夫。もう死にたくはならない。
私には何も返ってきてはいないし、何も解決していない。けれど私の悲しみは、時間がいくらか和らげてくれたようだ。もちろんゼロにはならないけれど、少しずつ減ってきている。

生きているから。