僕の体は止まったままで

ずいぶん賑やかなところで眠った。
とても眠かったし、会話には参加したくなかったからちょうどいい。
そんなに深くは眠れない。体や意識は沈んでいたけれど、耳は起きていた。周りの会話が私の頭の中で映像になる。
野球の話ならば野球の場面。どっちが勝ってるのか、私が何処に居るのかもわからない、夢とわかるような夢。
結婚は若いうちにすべきだという熱弁が聞こえてきたら、結婚生活のようなものを傍観する場面。

「あの人、やっぱり辞めちゃうかもね」

私はこれらの会話に全く参加したくはない。

でもね、会話の内容より、会話することに意味があるんだって。
なるほど。そんなことは知らなかったよ。


この前買った中古本の内側の表紙に「石塚君へ」って書いてあった。売っちゃったのね、石塚君。私が頂きました。

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ところで、あの人はやっぱり辞めてしまった。そういえば「向いてない」とか「したくない」とか言っていたな。そんな理由で辞められることが私はすごいと思う。けれど、そんな気持ちだったのかと批判されていた。
彼がネガティブな発言をした後、私は彼に「私と君は似ているって思うよ」と言ったことがある。
彼はあの時なんと言ったっけ。私は今でもやっぱり似ているな、と思うよ。