ただ、一切は過ぎていく

目が合った。窓ガラス越しに。
「欠伸をしていたね」
やっぱり。見られてたと思ったんだ。だって私も見てたんだから。


久しぶりなのかそうでないのかわからない学校は悔しいけれど楽しかった。

夏期休暇が終わった。
何かが終わると何かが始まる。

「朝に会ったあの人は講義には参加してないね」
「どうしたんだろう」
「朝はにこやかに先生と話してたよ」
「辞めたのかな」
「あんな笑顔で?清々しいね、羨ましいよ」
もちろん羨ましいが私の言葉であり本心である。
でも彼はまだ辞めてないだろう。


最近は勉強もせずに本を読んだりDVDを観たりして、濃い人間関係を傍観していた。
羨ましいと思う一方で、こんなの現実には存在しないのじゃないかと頭の隅で考えていた。
頭の隅の考えは一瞬で全部を覆って現実感が増す。

初めて誰かを心底好きになってみたいと思った。でも頭の隅でそんなの絶対無理だと思った。
自分のことをよく理解してるから、私が他人を好きになることがとても困難であることも理解している。

ただ安心したいだけなのだ。頼りたいし頼られたい。
何もしてないのに、いつの間にか誰かの力になっているような人間になりたかった。


学校が始まったことをなんの抵抗もなく受け入れたこの身体が許せない。
目覚まし時計ですんなり起きれた自分に呆れる。
とりあえずは惰性でやっていこうと思う。
モチベーションは低く、最低ラインを目指す。